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編:東洋経済新報社
はしがき 社風は決して一日で作られるものでなく、長い年月の積み重ねであることは、いうまでもない。だから、人がその企業の社風を語る場合、その歴史を無視することはできないのである。激しい経済の動きの中で、競争相手に打ち勝って、今日の繁栄をもたらしたのは、創立者の苦労もさることながら、その後継者たちの卓越した経営手腕にも負うところが大きい。したがって、良きにつけ悪しきにつけ、経営者の強い個性がその社風に反映する結果となる。 しかし、一方では新しい時代の流れもある。古い教育制度で育てられた幹部と、戦後の自由闊達な空気の中で育ってきた若い社員たちとの、感覚のズレは否定することはできないだろう。労働組合の発達もまた無視できない。企業はこの新しい時代にいや応なしに自からを適応させていかねばならず、社風はその面から変えられていく。 一見、円満な家庭とヨソ目にはみえる家でも、それぞれ「家庭の事情」があるように、順風にのって成長を続ける企業にも「社内の事情」があるようだ。企業にシミついた気風、経営者の個性、さらに新しい群像の台頭がそれぞれからみ合って、複雑な社風を作り出し、少しずつ変わってきている。 このように、社風は多面的にとらえなければならないが、限られたスペースの中で紹介していくことは非常にむずかしい。本書は、週刊『東洋経済』の同人の中で、会社分析を専門とする記者が、日常接する各社の中から興味ある社風をとり上げたものである。どこまで社風の紹介に成功しているか疑問なしとしないが、その点は読者のみなさまのご批評に待つこととする。第一編の四〇社と併せ、合計八〇社を紹介したので、併せてお読み下されば幸いである。一九六四年四月
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