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水上勉 著
京都の禅寺での少年時代を経て、作家を目指して上京後、編集者として出版社を渡り歩き、直木賞作家に。谷崎邸での豪勢な朝食、太宰の墓前で自死した田中英光、宇野浩二の口述筆記、小林秀雄との文士劇講演、川上宗薫、中山義秀からの助言など、様々な作家を追想。混乱と希望に満ちた戦中・戦後の出版界が生き生きと描かれる。1 東京逃れ京都の寺に羽を休めた詩人たち2 井上靖氏を見たくて等持院アパートへ3 「月刊文章」で佳作、はじめて活字に4 誰もがまばゆかった東京の文士たち5 林芙美子さんの姿、忘れられない光景に6 紙幣を改めもせず、石川淳氏はさっさと7 軍国色濃い街頭に絽の単衣姿で……8 国策小説に背向けた「青年藝術派」八人9 省線の窓から見た東京大空襲の機影10 「白紙」一枚で作家たちは前線へ11 「文学の部屋」守り、小説を読みふける12 神田の闇市ではスイトンに長い行列13 電話では相手に失礼、歩いて友人を訪問14 闇料理屋で始めた宇野浩二氏との仕事15 銭湯好きの宇野先生、財産は貧乏と恋と…16 菊池先生ご馳走になったリンゴ1個17 焼酎呑み合って屋台グイと英光さん18 英光さんのふとんは日の丸の幟旗だった19 白鳥先生の上京はリュックに洋傘で20 まばゆく怖れさえも感じた谷崎先生の姿21 「フライパン」の歌で作家になった気分に22 ほめたことのない宇野先生がほめた23 借金苦の和田さんに燃えたぎる創作意欲24 川上宗薫さんが私の「小説」に灯火をつけた25 野間宏さんには生涯頭があがらない26 巨体にして酒呑み、小田実さんとも同席27 「霧と影」の記念会に錚々たる顔ぶれ…28 ご恩ある和尚さまを「雁の寺」で殺した…29 行商をしていた身にゴルフは高く思えた30 宇野先生と同じ日に逝かれた広津先生31 文士劇では私が勘平、柴錬さんはお軽で…32 柴錬さんが盲目の柴犬に釜めしを…33 川端先生とコーヒーを飲んだ軽井沢の夜34 石坂洋二郎先生は気さくな津軽弁で…35 会いたい人に会える講演旅行の役得36 宴席で踊られる里見トン先生を拝見37 老舎先生は万年筆で「本来無一物…」と38 天秤棒をかつぐ母に似た人に会える39 中国の山奥へも行く司馬遼さんの覚悟…40 ついにたどりついた東山東禅院に感動!41 足元洗われる気持ちになった中国の寺院見学42 承志先生に通訳を指名した有吉さん43 魚箱小屋に寝起き、川崎さんの貧乏生活44 新幹線に宇野先生を乗せてあげたかった45 木山さんと夜のホテルから鯉を運んだ…46 木山さんと井伏先生、戦後岡山の剽軽さ47 花道ゆく役者のよう、川口松太郎先生48 年末の文士劇で見た川口先生の修羅49 古武士を見るような中山先生の着流し姿50 大御所、石川先生の孤独な寝姿も見た51 短篇を買ってくれた吉行淳之介さん52 記憶を数珠のようにかがってみたが…
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