
――己のために行なったことはみな、己の命とともに消え失せる。(中略)わが身のためだけに用いれば、人の命ほど儚く、むなしいものはない。されどそれを他人のために用いれば、己の生には万金にも値する意味が生じよう。(本文より抜粋)時は天平――。藤原氏が設立した施薬院の仕事に、嫌気が差していた若き官人・蜂田名代だったが、高熱が続いた後、突如熱が下がる不思議な病が次々と発生。それこそが、都を阿鼻叫喚の事態へと陥らせる“疫神(天然痘)”の前兆であった。我が身を顧みず、治療に当たる医師たち。しかし混乱に乗じて、病に効くというお札を民に売りつける者も現われて……。第158回直木賞と第39回吉川英治文学新人賞にWノミネートされた、「天平のパンデミック」を舞台に人間の業を描き切った傑作長編。解説:安部龍太郎。
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2025/3/31 23:59 まで有効
本作を敢えて一言で言えば「奈良時代を背景にした“時代モノ”の小説」ということにしかならないと思う。が、その「一言」に収まらないような、「憑かれる」かのように嵌ってしまうような側面も在る。
余り経験も無...
2020/6/20
すごいものを読んでしまった気分。
新型コロナの流行を機に読もうと思ったあるあるパターンです。
寧楽(なら)、つまり奈良時代の天然痘パンデミックもの。
奈良時代の天然...
本の雑誌ベスト・歴史小説部門から。現パンデミックを見越したかのような内容。それもあって、元の物語の求心力が、自分の中で倍加されたみたいな感じ。たまたまだけどここ最近、奈良時代モノに触れる機会が多い、っ...