
ハーバード大学を卒業した著者は、ロースクールへ進む前に、アメリカ南部の最貧地域の町で2年間、ボランティアの教師となることを決める。だが、劣悪な環境で育った黒人の生徒たちに読書を通じて学ぶ楽しさを教え、誇りを持たせたいという著者の理想は、最初からつまずく。読書以前に、生徒たちの読み書き能力は年齢よりはるかに劣っていたのだ。自治体に予算がなく人々に職のない小さな町で、生徒は将来を思い描けず、学校は生徒を罰することしか考えていない。それでも著者の奮闘の甲斐あって生徒たちは本に親しみはじめるが、当局の方針によって学校が廃校になってしまう。ロースクールへ進んだ著者はある日、もっとも才能のあった教え子、パトリックが人を殺したという知らせを受ける。数年ぶりの彼は読み書きもおぼつかず、自分が犯した過ちに比べて重すぎる罪に問われていることが理解できていなかった。かつての聡明さを失った姿に衝撃を受けた著者は、拘置所を訪ねてともに本を読むことで、貧困からくる悪循環にあえぐ青年の心に寄り添おうとする。同時にそれは、ひとりの教師・法学生の自己発見と他者理解をめぐる、感動的な記録ともなった。
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2025/3/31 23:59 まで有効
丸の内の丸善でノンフィクションの特集の本棚に置いてあった。
初めは気づかなかったが、「パトリックと本を読む」というタイトルが目に入った。読書会に関する本かなと思い、手に取って帯に書いてある「自己発見...
時代小説は、私にとってよく知った友人みたいなものだ。
スルスルと流れるように入ってくる文章は
「読む」行為そのものが楽しい。
けれど、時折好きか嫌いかわからない「読み物」も
必要なのだ。
...
とても静かで美しい文章。ひとつひとつの文が、撒いた水が土に染み込むように、身体に入ってくるようだった。
黒人の歴史が横糸となり、自身の将来への希望と不安、家族等との関係を交えた選択が縦糸となって織ら...