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長山靖生 編
文豪たちは味覚も鋭い。そして案外、健啖家。近代日本を作り出した文豪それぞれの好みを反映した「食」の物語には、時代の精神も刻まれていた。食べることは血肉を作り、生きることに他ならない。そこには思想もあれば主張もある。鴎外は他人と間合いを測りながらつつく牛鍋を弱肉強食の闘争に例え、独歩は和洋折衷・官民融和の理想を重ねた。江戸っ子の漱石は蕎麦、西国出の芙美子はうどんと、好みには生まれも反映する。美食を追求する者もいれば、ただひたむきに食うもの、大志を立てて粗食をする者もいる。本当に「食べる」ことは奥が深い。『文豪と食』同様、いろいろな食べ物を取り揃えてみました。目次森鴎外「牛鍋」……牛鍋国木田独歩「牛肉と馬鈴薯」……ビフテキ夏目漱石「吾輩は猫である」より……蕎麦林芙美子「小さい花」……うどん正岡子規「御所柿を食いし事」……柿幸田露伴「菊―食物としての」……菊永井荷風「風邪ごゝち」……葱鮪谷崎潤一郎「美食倶楽部」……美酒美食芥川龍之介「魚河岸」……洋食いろいろ泉鏡花「湯どうふ」……湯豆腐岡本かの子「鮨」……鮨夢野久作「お茶の湯満腹記」……茶懐石斎藤茂吉「食」……鰻山本周五郎「尾花川」……饗応と大志太宰治「チャンス」……雀焼
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