東村アキコ氏絶賛「不倫の漫画を描くのに、とても参考になりました」女が本当に怖くなる11の物語。理由あって、都会から実家に戻った「私」は、年老いた母とペットのマルチーズと暮らしている。時どき立ち寄るペットショップの女主人・中山圭子は、犬や猫をあやしながら、さり気なく飼い主から話を聞き出すのが得意。圭子のもたらす情報が、「私」のどす黒い過去を甦えらせる――。表題作ほか、婚期をのがした娘の子宮切除手術の前夜、娘の傍らで眠る父の悲哀と甘やかな妄想を描く「初夜」。バーで独り飲む女にバーテンダーが語った奇妙な体験「眠れる美女」。可愛かった妹の人生が低迷してゆくのを見守る兄の心理「いもうと」。初めての不倫にふみだす妻のためらい「春の海へ」。故郷の町に戻ってきた三人の女たちに渦巻くねたみと憎しみ「帰郷」など、10篇の恋愛官能小説集。解説・東村アキコ*本書は2005年6月に文藝春秋より刊行された文春文庫『初夜』を改題し、解説を加えた新装版です。収録している短篇は同じです。
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