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熊谷徹
「まじめなドイツ企業が、どうしてこんなことを?」2015年9月、ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲンの排ガス不正問題が発覚したとき、上記のような感想を抱いた日本人は少なくないだろう。だが、ドイツの経済界を26年間にわたって取材してきた著者には意外ではなかった。「VWよ、やはりお前もか」販売台数世界一をめざして、年々、成長してきた同社も大企業病に蝕まれていたのだ。上司の命令にNoといえない社風、はげしい権力争い、問答無用の成果主義・・・この不正の根にある問題は、おなじ物づくり国家である日本にとっても、けっして対岸の火事ではない。企業人必読の現地レポート!【おもな目次】◆第1章 VW排ガス不正の衝撃◆上限値の35倍の排出データ/違法ソフトの使用を「自供」/史上3番目の大規模リコール/VW株価、一時暴落/社内調査の不十分さを露呈 など◆第2章 帝国の内なる不安◆陰の最高権力者/帝国の父・ポルシェ博士/ヒトラーが国民車開発を命令/家庭内でも成果主義/骨肉の経営権争い/「経営に調和は不要だ」 など◆第3章 不正はいかにして行われたか◆訴訟抗弁書が明らかにする不正の実態/「取締役より下のレベル」の犯罪?/時間を空費した3週間の休暇/危機管理システムの機能不全/空気を読んだエンジニアたち など◆第4章 襲いかかる巨額の経済負担◆米国でのマンモス訴訟開始/訴状に浮かび上がる米国人の怒り/147億ドルの支払い/史上最悪の赤字 など◆第5章 不正は氷山の一角◆すべての企業が抱えるジレンマ/規則違反が法律違反にエスカレート/変革と合理化に抵抗する労働組合/歴史的転換点に立つVW/日本への教訓 など
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