――彼の子供時代の終わりは、ひどく凄惨なものだった。幼き少年キーファは、謎多き地下教団のテドラに町を壊滅させされ、幼馴染のミリアムも、姉のように慕っていたレイシアも、町の人々もすべて喪った。そして時は経ち、教団と対立する軍部に保護され士官候補生となったキーファは、武器密売組織の殲滅作戦の中で一人の金髪の少女と出会う。彼女こそ、かつて死んだはずの幼馴染で、宿敵である教団・テドラに所属したミリアムで――。二人の再会は、記憶の奥底に封じられた『地下に眠る大きな卵と、その扉』の真相へと繋がっていく。『Unnamed Memory -after the end-』第4巻に登場した、「檻中大陸」編の〈扉〉の謎が明らかになるスピンオフ小説!【登場人物紹介】〈キーファ〉第十六部隊に所属する士官候補生の青年。異能者でエギューラを操ることができ、武器の知識にも富んでいる。〈ミリアム〉キーファの幼馴染。教団・テドラの襲撃により死んだと思われたが、再び彼の前に現れる。しかし彼女にキーファの記憶はないようで……。〈レイシア〉キーファとミリアムが姉のように慕っていた優しい女性。幼い二人に『地下に眠る大きな卵と、その扉』の話を語りきかせていた。〈レヴィ〉新しく第十六部隊の指揮官としてやってきた少将。キーファの上官で、優秀だが破天荒な性格。ユディトに対して、運命的に惹かれるものを感じている。〈ユディト〉教団・テドラの第一異階の聖女で、大陸最強の異能者ともいわれる黒髪の美しい女性。「オスカー」と夢のなかで呟く彼女の正体は――。