
今日の世界は、かつてないほど急速な変化を遂げている。資本主義はその限界を露呈し、人工知能は人間の仕事を奪い始め、誰もが100歳まで生きる人生100年時代が到来しつつある。旧来の価値観が通用しなくなっていくなかで、「これから」をよりよく生きるためには、現在進行形のリベラル・アーツ(教養)が欠かせない。思想から経済、デザインにアートまで、各界のフロントランナー11人が、各分野の「これまで」と「これから」を紐解きながら、「これからの教養」を語り尽くす。 ・目次1.これからの思想――東浩紀2.これからの生命――池上高志3.これからの健康――石川善樹4.これからの建築――伊東豊雄5.これからの経済――水野和夫6.これからのメディア――佐々木紀彦7.これからのデザイン――原研哉8.これからのプロダクト――深澤直人9.これからの文学――平野啓一郎10.これからのアート――松井みどり11.これからの人類――山極寿一・未来の創り手11人が考える、変わりゆく世界の「これから」「僕たちは偶然性=弱いつながりを意図的に回復しなくてはいけない」(東)「人間も機械も『人工生命化』していく」(池上)「人生100年時代には『大きな問い』が必要になる」(石川)「新しいコミュニケーションやコミュニティをどう居心地よく造るかが問われている」(伊東)「近代社会の原理から脱し、『よりゆっくり、より近く、より寛容に』」(水野)「いまはまたゼロからビジネスをつくらなければならない時代」(佐々木)「これからはものではなく価値を作っていく時代」(原)「デザインをする部分が本質的になってきた」(深澤)「『個人』という概念が社会システムを考えていく上で限界に来ている」(平野)「スペクタクルの蔓延の中で見失われている『個人の独自性』を取り戻す」(松井)「人間はデータから脱出しなければならない」(山極)・「はじめに」より爆発的に増える情報量とそれらを瞬時に検索するネット環境、ビッグデータを駆使するコンピュータの発展にともなって、僕らは「既になんでも知っている」かのようなイメージがあるが、果たしてそうだろうか。逆に、より受動的で、自分の関心領域だけに閉じこもる人が多くなっているのではないか。さらに、世界で何が起きているかよりも、国内の事象や文化にだけ関心を向けている人も多いように思う。そうした精神ならびに知性の不自由さから解き放たれるためにも、異なる分野や言語を学ぶことには意味がある。教養はリベラル・アーツの訳語だが、人が自由(リベラル)であるためには技術と知恵(アーツ)がいる。異なるものを知らないと、人は自由になれない。本書は「これから」をより良く生きるための現在進行形のリベラル・アーツ(教養)の端緒に触れられるものになれればと意図している。
- みんなの感想
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2025/3/31 23:59 まで有効
多数のジャンルの話をまとめてくださっているので、自分の好奇心の幅が広げる、とても良い機会となりました。
特に資本主義のお話や、アートのお話。デザインではなくアートというジャンルが私にとってはとても新鮮...
少し前の本ですが、学びある。
動物の世界は必然性の世界であり、
アルゴリズムが支配する世界であり、
強いつながりの世界である。
それは友達を作りたいなと思ったら自分と趣味の合う人たちを探してオフ会を...
11人の識者へのインタビュー集。編者の好みなのか分野と言葉は違えど、思い描いている未来社会は似通っている人選のようにも思えます。気になる人物ばかりだったので問題ないですが。
近代の強い個を持続できる...