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初めての方へ
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著:ハンナ・アーレント 訳:大島通義 訳:大島かおり
〈警察を最高の国家権力にまでのし上がらせた全体主義政権は、個人の犯した罪とは無関係に最初からグループとして法の埒外に立たされた大集団に対する支配を基礎として警察権力を強化することに、当然ながら明白に利益を見出していた。ナチ・ドイツではニュルンベルク法が帝国市民(完全な市民)と国籍所有者(政治的権利のない第二級の市民)との区別を設けたが、これによってついにはすべての「異種血統の」国籍所有者が命令により国籍を剥奪される道が均(なら)されたのである。…他方、非全体主義諸国における無国籍者グループの増大は、警察によって組織される無法状態の一つの形式を発展させた。この無法性は世にも平和な方法で自由諸国を全体主義国に似たものに変えてしまった… こうして人々は特に次の点を看過してしまった。すなわちユダヤ人問題のヒトラー流の解決――まずドイツ・ユダヤ人をドイツにおける非公認の少数民族の地位に追い込み、次には無国籍者にして国境から追放し、最後にはふたたびひとり残さず寄せ集めて絶滅収容所に送り込んだ――は少数民族問題と無国籍者問題のすべてを現実に「処理」し得る方法を全世界に向かってこの上なく明確に示したということである〉国民国家の崩壊、民族主義の台頭、資本家とモッブの同盟、難民の出現… 第一次大戦に連なり、全体主義の素地をつくった帝国主義とは?
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