樹林を母体にする生命集団の繋がりを樹林系と定義し、その移り変わりを自然現象として解説しました。テフラの上に育つ樹林は、風雪に晒され、鳥獣の働きによって、形成され持続し盛衰を極めます。北方の成熟した樹林系は、植被三相という針葉樹、広葉樹、ササ相から成り、タネの運び屋と受け皿の条件によって決まります。すなわち風媒種、鳥媒種、獣媒種の構成は、時間の経過に伴って変わります。テフラ層は樹林系の始原を示し、鳥獣に生息場を提供します。これは植物と動物の命を繋いでいることになるのです。そして樹林系は見て分かり、再現できる対象ですから、樹林系の推移を読み執ることによって、地表史を知ることができます。本書では具体的な事例に基づいて、樹林系変遷の実態を紹介し、各要素間の繋がりを述べました。分析的な物象論でなく、総体的な現象論です。 6.10.2017 東三郎
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