評伝・河野裕子:たつぷりと真水を抱きて

著:永田淳

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    平成の与謝野晶子とも譬えられ、恋や家族を高らかに歌い上げた歌人が他界したのは2010年8月。だが没後「河野裕子短歌賞」が創設されるなど、その評価はますます高まっている。夫の永田和宏や娘の永田紅などによって、家族の肖像は多く明らかになっているが、今回その息子が初めて母の生涯を丹念に描いた。誕生から幼少期を過ごした熊本時代、精神を病みながら作歌に目覚めた青春時代、永田和宏との出会いと結婚、多くの引っ越しを重ねながら子育てに勤しみ、短歌にも磨きがかかった時代、アメリカでの生活や晩年の闘病、そして最期……。これまで未発表だった日記や、関係者への取材を通して明らかになる歌人の日々から、著者は新たな作家像を浮かび上がらせる。精神を病みながらも、同姓だった無二の親友と築いた文学的信頼関係。しかも彼女の自死。また最期を看取りながら病床で一首一首を口述筆記した様子は、読む者を深い感動へと導いていく。対象への距離感と親子の親密感とがみごとに融合した、評伝文学の傑作である。

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    • 2016/03/11Posted by ブクログ

      読み進めるうちに、確かにこれは評伝というタイトルが正しい、と思うようになった。
      有名な大学教授や評論家などではなく、息子さんに評伝を書いてもらえるなんて、河野さんはなんて幸せな人だろう。おそらく天国で...

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    • 2015/10/18Posted by ブクログ

      たつぷりと真水を抱きてしづもれる昏き器を近江と言へり

       20代の若き日から、戦後女性短歌史の一翼を担った河野裕子。右はその代表歌である。

       滋賀の野山で多感な少女期を過ごし、結婚を機に関東へ。見慣...

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