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中上健次
今も開催される「熊野大学」など中上が熊野で立ち上げた三つの文化組織。「熊野とは何か」という問いの全貌がここに。ここに収められたのは、全て作家が故郷・和歌山県新宮市で語り、行い、書き綴ったもの。自ら地元で立ち上げた文化組織は、1970年代末の「部落青年文化会」に始まり、「隈ノ會」、「熊野大学」と規模を拡大した。なかでも「熊野大学」は、1992年の作家の死後も現在に至るまで、合宿形式による「夏期特別セミナー」を開催している。この市民大学のモットーは、門もなく、試験もなく、卒業は死ぬ時。中上健次はその創始者にして最初の卒業者となった。『中上健次と読む「いのちとかたち」』は、熊野大学の発足当時から作家の死の直前まで、地元の市民たちを集めて速玉大社双鶴殿で行われた山本健吉『いのちとかたち-日本美の源を探る』の講読記録。「部落青年文化会」は、「路地」の若者たちを組織、東京から石原慎太郎、瀬戸内寂聴(当時、晴美)、吉本隆明、唐十郎らを招いて連続公開講座を実施した。「開かれた豊かな文学」は、その間に行われた中上健次の講演記録である。同窓生の田村さと子(ラテンアメリカ文学者)らを招き、新宮市民会館で発会式を行った「隈ノ会」を含めたこれら三つの文化組織で、中上は熊野とは何かという問いを終始喚起し続けた。【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。※この作品にはカラー写真が含まれます。
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