泉鏡花 現代語訳集15 陽炎座

泉鏡花 現代語訳集15 陽炎座

作:泉鏡花 訳:白水銀雪

220円(税込)
クーポン利用で66円獲得へ

【あらすじ】春たけなわのある日、亀戸天神へ参拝した帰りに、水のぬるんだ、川沿いの通りを陽炎に纏いつかれながら来ると、どこからともなく、遠くで鳴物の音が聞こえ始めた。「狸囃子というんだよ、昔から本所の名物さ。」「あら、嘘ばっかり。」ちょうどそこに、美しい女と、若い紳士が居合わせて、こう言葉を交わしたのを松崎は聞き取った。気をそそって人を寄せる、その囃子に誘われて来ると、ここにも、そこにも、ふらふらと、春の陽を中へ取り込んで、白く点したような行燈を軒に掛けた、木賃宿の並ぶ場所。周囲とは場違いな、大きく立派な空家が一つあって、それを囲む、二間ほどの高さの古い船板塀の前に、お玉杓子が群がって押し競饅頭しているように、子どもが大勢集っていた。そこに敷かれた、じめじめした筵の舞台で、飛んだり、跳ねたり、ばたばたばたと演じられていた子ども芝居を何気なく観始めると、先ほどの二人連れが、やはり囃子に導かれて来たらしく姿を現した。その奇妙な芝居の中で、近頃亡くなった近所の評判娘、忘れ得ぬその娘の名を松崎は耳にする。そして、美しい女もまた、その名に、帰りかけた足を止めたのであった。

ジャンル
文芸
出版社
BCCKS Distribution
提供開始日
2016/04/29

この作品をシェアする

Xでポスト
閉じる
開く
一番お得なクーポン

クーポン利用で【70%OFF】66円(税込)で購入できる!

初回ログインでもらえる70%OFFクーポン

2024/11/30 23:59 まで有効

同シリーズ

開く