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著:織田百合子
鎌倉には『源氏物語』と『万葉集』という二大古典の貴重な知的遺産が制作される土壌がありました。紫式部が書いた『源氏物語』、しかし、紫式部自身の手書き原稿が残っているわけではありません。昔の人が「写本」として書き残してくれて、今に引き継がれているのです。二大写本のひとつ「河内本源氏物語」は鎌倉でつくられました。考古学を学んだ著者の新たな切り口から、鎌倉における『源氏物語』の成立過程を辿る研究書です。著者は早稲田文学新人賞受賞の面目躍如、作家魂はタイムトンネルをくぐりぬけ、流れる筆力で当時の人々を取材しているかのようです。歴史の彼方に色濃く残る平家の王朝文化。鎌倉と京の有識者たちの交流図を付して解明していきます。鎌倉にはかつて『尾州家河内本源氏物語』という重要文化財にも指定される立派な写本が存在しました。そして『西本願寺本万葉集』という、現在刊行されている『万葉集』のすべての底本になっている写本も。二つの写本は鎌倉時代、鎌倉の地で制作されたのです。鎌倉の滅亡とともに流失して、今では鎌倉の人たちでさえ知らない状況になっています。鎌倉は武士の都といわれますが、この写本の存在が雅な文化もあったことを語ってくれています。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、予めご了承ください。試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
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