夜明けにもっとも近い刻こそ、闇はいっそう深くなる――〈捜索隊〉に与えられたタイムリミットまで残り数時間。殺人鬼・ファブリの魔の手は、ついに一行を捉える。そして、徳永準の前に現れた少女の目的とは…? 「突然――スタジオから飛び出して、アタシは〈捜索隊〉に復帰したくなった。なにもかも放り出して、ビキニのままで、今日初めて知り合った大切な仲間たちのために、東京中を走り回りたくなった。(おちつけ、おちつけ、オサリバン・愛!)これは仕事なんだ。アタシの選んだ仕事なんだ。ここがアタシの戦線なんだ。だからアタシは歌うんだ。――今のアタシは、こんなことしかできないけど。ビキニの道化師で、見事に鼻フックやりとげて、お屠蘇気分のお茶の間の皆さんにクスリと笑ってもらうのが精いっぱいだけど。でも、仲間たちが、がんばってるから。どこかできっと、がんばってるから。だからアタシも全力で歌う。遠い遠い異国の、アタシの遥かなる故郷、遥かなる一族の歌を。」(パート11「Into the Midnight」より)