開放の檻

開放の檻

浅見茉莉

製薬会社の研究所に勤務する香月悠人(こうづき・ゆうと)は異様な気配に目をさました。信じられないことに、目隠しをされ両手首を後ろで縛られているのだ。不意に声が掛かり、それが同期でライバルの狩野大河(かのう・たいが)のものだと香月には瞬時に聞き分けられた。しかし、なぜ自分は体の自由を奪われ、そばに彼がいるのか……?昨夜、香月の留学決定祝いの宴会があり酔わされてその後の記憶がおぼろだ。そこに狩野の「お前は監禁されたんだよ」という言葉が響く。社内選抜で負けた狩野が留学辞退を迫るため拘束したのだ。が、香月の留学希望の本当の理由は狩野から離れたかったからだ。彼への秘めたる気持があり抑えるのももう限界だったのだ。その狩野から様々な恥辱を与えられて、香月は倒錯的な悦楽に墜ちる。だが、狩野の側にとっても監禁には本当の理由があり、それは一世一代の「賭け」でもあった--。単行本未収録の秀作短編。

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