失恋マスカレード

入社したときから面倒を見ていた後輩が結婚した。付き合っていた彼女がいるのは知っていた。だからこそ、この思いは告げられなかった。はじめからわかっていたことなのに、あたしは気持ちを整理できない。そんなあたしが結婚式の後、一人飲んでいると、ＴＶドラマの再現のように目の前にグラスが置かれた。あたしにグラスをよこした相手の名前は上条澄。なんと彼は新婦に片思いをしていた相手だった！なぜか意気投合したあたしたちはヤケ酒とばかりにお酒を飲みまくった。お互い言いたいことを言い合って。胸のもやもやを全部吐き出してお酒と一緒に全部忘れるはずだったのに…。どうしてあたしはこの男の胸に抱かれて、こんなことをしているのだろう？これは一時の気の迷い。でも男からの魅力的なお誘いの前にあたしは、つい、ずるずると付き合いを続けることになった。これも全部、おいしいお酒が悪いんだから！