運命の人

「地味子」とあだ名のつけられた、職場では目立たない存在の佐和子。それは彼女自身が選んだ道。「女」である事を捨てた佐和子にとって”存在していない”という事が重要だった。心が壊れるほどの過去が佐和子にはあり……その吐き出し口が無い為に、薬を常用する毎日になっていた。佐和子の傷を知った上司の木島。自分がいる事で佐和子の心が回復するなら…と、力になってくれる事に。彼の本心が分からないまま、一緒に食事をするという事で少しずつ佐和子の心は癒されてゆく。男など、二度と知らなくていいと思っていたのに……気付くと、木島は佐和子の心にしっかりと根を張っていた。やがて佐和子は木島に依存するようになる。それは薬に頼ってきた彼女の新しい「逃げ道」だったのだろうか。声に出して言えない心の深い傷を持った女性が、運命の人と出会う事によって人生が変化してゆくラブストーリー。