釘拾い

石像寺の釘抜き地蔵は「釘抜きさん」と呼ばれ、様々な痛みや苦しみを抜いて楽にしてくれるところから、古くは「苦抜地蔵」として京の人々に親しまれた。地蔵盆に帰ってきた昌章は、釘が昔から恐かった。本堂わきの休憩所で高見酒店のおじさんと会ったことから、その日の夜、町の中にぽっかりと口を開けた異界に足を踏み入れる。それは、夜の3時だというのに湿った空気がまとわりついてくる熱帯夜の出来事だった。京都を舞台にしたモダンホラーの傑作選、絵ものがたり版「京都宵」の一篇。

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