ファンタスティック12（ダズン）　（9）　極楽の魚たち

ルナールがオランダ東インド会社を通じて入手した東南アジアの魚類たちの「生体写生図」は、ひからびた標本しか見たことのない眼にとって、まさに驚異の幻想図であった。彼がこれをまとめて18世紀に出版した『モルッカ諸島産彩色魚類図譜』は、世界初の彩色魚類図鑑として、魚類学史上もっとも重要な書物となっている。「実在する生物たち」を描いたのに当時から、「ファンタスティック！」と評されたシュルレアリスティックな図は、ある意味で、われわれが宇宙人に遭遇したときに描くであろう<実物を目の前にしながらの幻想画>と等しい作品といえよう。ここにあるのは、人間によるファースト・コンタクトの偽りのないヴィジュアル体験記なのである。【脳内パノラマとしての図像を探検する・ファンタスティック１２の第９巻】

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