
あの人たち、あの娘たちは今どうしているのだろうか――すずらんの香水、首筋に感じる風、数多の映画の情景、幾度となく紡ぎ直される物語。’50年代の記憶を精緻に編みこんだ切なく甘い最新長編小説。彼女はスタアになれるのか?『スタア誕生』公開にちなみ、地方都市の映画館でニューフェース審査会が開かれる。揺れながらカーテンが引かれ、シャンデリアは虹色に輝き、まばゆい光のスクリーンで、私たちの〈金魚の娘〉ははなやかに泳ぎまわるだろうか……傑作「噂の娘」(講談社)から16年を経ての姉妹篇。作家生活50周年記念刊行。
例えば〈薄いピンクで厚地のデシン風のカーテン〉とそこに〈丁度、星空のようにちりばめて縫いつけて〉ある〈ガラス玉〉に、〈夕日かそれとも朝日に染って淡い透明なバラ色に薄く光っている空の下にある池の噴水から...
これはなんと「噂の娘」を受けたもの。途中までそれに気づかず、誰が語っているのかなかなかわからなかった。大体、著者の小説は、人物の関係などを親切に説明してくれたりはしないが、本作ではその傾向が強くて、誰...
金井美恵子の最新作。
『噂の娘』の続編でもあるが、特に前作を読んでいなくても問題はない(そもそも件の〝噂の娘〟の文庫本、今、新刊で入手可能なのだろうか……)。
久しぶりに金井美恵子の文章を読んで、なん...